待ち合わせ  『LOVE×2な10のお題』より

 

それはそれは力強くて頼もしく。
寡黙なのが映えるほど、清冽で凛としていて、
精悍という言葉は、進さんのためにあるんだって思ったくらい。

背も高くて体格もいいし、
冴えた印象のお顔は端正だし。
雰囲気も重厚で、そのくせ動作に切れがあって。

 ―― 男らしくて、印象的で。

だから雑踏の中にいても、
一際目立って、居場所がすぐに判る人。

 「ね? 進さんてそういう人なんですよ。これは万人が認めることです。」
 「…。(握りこぶしが凛々しいねぇ)」

でもでも、ボクは。
相変わらずおチビだし、ひ弱だし地味だし。
どっちかと言えば大人しい方で、
そもそもの引っ込み思案もなかなか直せなくって。

そのくせ、慌て者で落ち着きがなくて。
自信ってものがないせいか、泰然としてなんていられなくて。
存在感なんてないと思うのに。

 「それなのに。
  すぐにボクんコト、見つけちゃうんですよね? 進さんて。」

待ち合わせの場所がいつもと違うときでも、
悪戯ごころが起きて“ちょっと隠れてみよ”って思ったりして、
わざとに他の人の影に重なってても。
そんなの関係なく、あっと言う間に見つけてしまう。

最初の内は、ボクに“絶対先に来ちゃいけない”なんて言ってたんですよ?
進さんの方が大きくて探しやすかろうっていうのの一点張りで。
それでもついつい先に来ちゃうボクへ、
自分はどうやら、
アメフト以外のことへは見落としが多いらしいからって。
見落として…ボクががっかりしないようにでしょうね、
頼むから後から来ておくれって言ってたのに。

 「凄いですよね〜♪
  日頃からも集中を鋭くしてるってことですもんね。」
 「…いや、それは。」
 「休みの日まで集中しとらん。」

あ、進さんだvv 早かったですね。
………あ・えと、あのあの。
今日はちょっとあの、本屋さんから電話があって。
予約しといたのが入荷しましたって、それで。
それで…早めに来てちゃっただけで。

 「瀬那くん、違う。
  こいつが不機嫌なのは、僕なんかと一緒にいたからだ。」
 「はやや。////////

言っとくけど、僕が一緒にいるのはたまたまだ。
顔見知り同士が出先で目が合ったんでと、
しばらくの間だけ話相手になってちゃ悪いのか? いけないのか?

 「…いけなくはない。」

よ〜し。じゃあその仁王様みたいなしかめっ面をまずは止めな。
いつもと変わらない? 嘘だね。まだ機嫌が傾いてる。
でなきゃセナくんが、こんなおどおどしてるわきゃなかろうが。
………ああ、はいはい。
(くすすvv)
そうですか、判りました。元凶が去れば良いんだね。
ホンットに焼餅焼きなんだな、お前ってば。
意外すぎてビックリだ、まったくもう。
(苦笑)
じゃあね、セナくん。
あ、そうそう。
なんで見つけやすくなったかは、本人から訊くと良いよ?

 「………………えっと。////////

ど、どこから聞いてました?
そこの看板の前に差しかかった辺りから聞こえたんですか、
いやそうじゃなくて、あの。////////

 「俺にも判らん。」
 「……… え?」
 「どうしてもこうしても。
  人込みの中、景色の中、小早川の姿は妙に浮かび上がって見えるから。」

こうして見ていても、さして派手な恰好をしているわけでもないのだが。
なのに視界の中で、色づけが異なっているものみたいに見えて、
不思議と目立つ、だからすぐにそこにいると判る。

 「………それは、不思議ですねぇ。」
 「うむ。」

此処にいるの、見つけられたのも、
ノッポの桜庭さんと居たからじゃないんですよね。
む〜ん。
じゃあやっぱり、進さんの集中力が鋭くなってるんですって。
きっとそうですようvv 凄い凄い♪






  ◇  ◇  ◇


 「…なんてな勘違いへ
  まっしぐらしてるんじゃないかと思うと心配じゃあない?」
 「……………別に。」

セナくんの謙遜ぶりも相変わらずだよね。
自分なんかって言い方するけど、ああも可愛いのに自覚ないのかな。
あれって、
どんな状況からでも見落とさない進が凄いんじゃなくて、
つまりは“特別な人”だからに決まっているのにね。

 「僕にとってのヨウイチなんてvvv

それでなくても目立つ美人なのが、ますますのこと際立って見えるから、
姿が見える前から何処にいるのかって判っちゃうくらいなのにねvv

 「…だったら。」
 「??? なぁに?」
 「だったら、チビと長々じゃれ合っとらんとだな。」
 「おや。」

だってヨウイチってば、
出先で馴れ馴れしくも声かけたら“つ〜ん”ってそっぽ向くじゃない。
用事があるからって振り払うみたいに急いだり。

 「だから、そういうお出掛けじゃないのかなって、
  これでも窺ってました、ごめんなさい。」

………で。
ずっと僕らの方、こっから眺めてたよね。
セナくんに悪い虫でもつかないかって心配してた?

 「〜〜〜〜〜。////////

急いでないなら、あのね?
時間があるんなら、お昼ごはん付き合ってくれませんか?
タンドリーチキンが美味しい、お勧めのお店があるんだけど。

 「…飛びきり辛いのがあるなら行ってやる。」
 「任〜かして♪ あ、こっちだよvv





  〜Fine〜 07.8.14.


  *まだ先のをコンプリートしてませんが、
   いいお題なのでつい、先に手をつけてしまいました。

  *進セナものを書くと、つい。
   ラバヒルものも書かなきゃいけないような、
   そんな反射になってるのは何故だろか。
(苦笑)
   ちょっとばかし余裕のあるラバくんなのは、
   今の彼らのバランスへと馴染んでるからでしょうね、すいません。

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